第58回 全国学童保育研究集会 分科会参加レポート

先日、オンラインで参加した全国学童保育研究集会の分科会で興味深い話を聞いてきたのでご紹介したいと思います。


私が参加したのは「子どもの発達と学力」を考える分科会で、講師は馬場久志先生でした。
先生は埼玉大学で教鞭をとっていらっしゃることもあり、今年10月に埼玉県の自民党県議団が提出し、全国で話題となった埼玉虐待禁止条例の一部改正案についての話から始まりました。
小学3年生以下の子どもだけの外出、留守番を放置による虐待にあたるとするこの改正案は、ご存じの通り世間の批判の声が高まる中で撤回されたわけですが、馬場先生は「撤回はしても、提案者はこの改正案が根本的に間違ったものであるとは考えていないようだったので、今後、似たような法律がでてこないよう、我々が注意していく必要がある」とおしゃいました。
さらに、この改正案の問題点としていくつかの事柄をあげられたうえで、1冊の絵本を紹介してくださいました。
それは『はじめてのおつかい』(筒井頼子、福音館書店)という本です。

5歳のみいちゃんが赤ちゃんのお世話で大変なお母さんのかわりに一人でおつかいに行く話で、幼稚園や保育園にかなりの確率である本なので、ご存じの方も多いかと思います。


猛スピードの自転車をさけ、転んで落としてしまったお金を探すなど、みいちゃんにとっては一つ一つの出来事が冒険であり、そんな次々ふりかかる難問を一人でクリアし、頼まれたことをやり遂げた!という彼女の達成感は読んでいる私たちも感じ取ることができます。
この出来事がみいちゃんを成長させたのはもちろんですが、内心ドキドキしながらあえてみいちゃんをおつかいに行かせたお母さんもこの出来事で子への信頼感を育て、母として成長したことは間違いないでしょう。
…と、ここまで説明をなさった後の先生の一言、「でも、このおつかいはあの改正案では虐待となるのです。」には、とても考えさせられました。


子どもを守りたい、その気持ちはとても大切なのだけれど、子どもたちは社会の中で安全を求める権利と共に監視されない自由があります。
社会の中で、親以外の人ともかかわることで大きく成長していくのです。
良かれと思ってしたことがかえって子どもたちの成長を妨げることになってはいけないと思ったのでした。


分科会の最後に先生は子供の成長とは、行きつ戻りつ停滞も後退もあるようにみえてときに一気に飛躍するものだとおっしゃいました。
だから大人は一つ一つの出来事に一喜一憂するのではなく、待たないといけない、そして待てる大人になるためには大人にも仲間が必要であると。


虹の子の中では、子どもたちだけでなく、私たち保護者も様々な人…自分の子ども以外の子供たち、指導員、保護者…とかかわっていきます。
子どもが低学年の時は特に多くの先輩お母さんに愚痴をこぼし、笑いとばしてもらって元気になってまた育児に奮起することが多かったように思います。
馬場先生のお話を伺い、そんな事を思いだしつつ、この縦、横、斜めの関係の中で、支え、支えられながら、親子で育っていきたいものだと思いました。
(虹の子保護者)