子どもたちの最善の利益のために
昨日は全国学童保育指導員学校西日本が京都教育大学で行われ、僭越ながらワタクシ森奴、「子どもをとらえる視点と働きかけ」という基礎講座の一つを受け持って、虹の子クラブでの子どもたちの様子や指導員たちの実践、あそびの紹介やそれにかける思いなどを、比較的経験の若い指導員たちを前に2時間余りたっぷりと語ってきました。子どもたちとの様々なやりとりをしゃべっていると本当にあっという間でしたが、それなりに思いを伝えられたのではないかと自負しております。
1000人余り
の指導員の仲間たちが集い、共に学ぶこの学校。そこには真摯に子どもたちに向き合う指導員の思いがあり、それを支える保護者たちがいて、今日の学童保育の発展につながってきたことをあらためて実感しました。
そんな中、揺り戻しともいえる動きが政府においてみられることはご存じのとおりです。
保護者のみなさまにお願いしてきた請願の署名は、全国の学童保育に
関係している方々の思いが詰められています。「従うべき基準」を堅持することを求める請願署名の取り組みは、全国目標の10万筆を大きく超え18万筆を上回りまだまだ、全国学童保育の事務所に届いているそうです。6月11日を締め切りとして、6月13日には、国への請願として提出される予定です。
特に今回は、「従うべき基準」を堅持するお願いは、「放課後児童支援員」という資格を持った指導員を原則2名以上配置することを守るお願いです。
「誰でもできる仕事」とかつて市の担当課職員に言われたことのある我々指導員の仕事。「子どもを一定時間預かっておけばいい」という考えの下、安全確保のために子どもを管理するだけの場になっている学童保育がまだまだ我々の周囲にあります。そこには当然専門的な知識や技能を持った職員が必要とされず、まさに誰でも構わないから子どもをみといて状態をよしとする実態があります。虹の子クラブは先駆的に保育の中身で全国の学童保育運動をリードしてきたという誇りがありますが、かたやそのような考え方を持つ学童保育の実態が、発展の常に足かせになってきた経過もあるのです。
全国のこれまでの運動がやっと実を結び、2015年全国一律に、国からの省令がおり、市町村の条例もでき、指導員の複数配置や障害児加配補助など学童保育の現場に指導員の配置基準が一定の保育の質に繋がるとして、「従うべき基準」をつくり安全で安心できる「生活の場」が期待でき歩き出したばかり、この政策の成果も見えない今、それを無くしてしまうことに強く反対したいと思います。
今の子どもを取り巻く現状の中、学童保育は、地域社会福祉資源としてなくてはならない現場となっています。もっともっと、専門性が問われる現場になりつつあると私は思います。現場の指導員は、子どもの発達を学び研究しスキルを上げていかなければなりません。群れて遊ぶ子ども、その時代にしか見られない輝きを見せてくれる子どもの育ちはかならず守っていかなければならないことです。一時預かり的要素も消せない学童保育をこの国から無くしていけるよう、放課後の過ごし方や子どもを取り巻く課題をしっかり見据えて、「子どもの最善の利益」から、国の責任を問い続けていきたいと思います。
来年は「全国学童保育研究集会」が京都で行われます。5000人が京都に集い、学ぶ、大きな大会です。保護者のみなさんにたくさんのご協力をもらわなければ成功しません。どうぞよろしくお願いいたします。